アートを活用した中学生と大人の対話型鑑賞のようなワークショップ
2024年01月26日
1月26日(金)、倉敷市の中学校にてワークショップを実施しました。本企画は倉敷化工株式会社の社員さんのご協力によるCSR活動として実現しました。
また、本ワークショップはプログラムデザインの過程で大原美術館さんのご助言もいただいて開発しました。
アートを活用した大人との交流を通して下記のねらいを達成します。
事前ワークでは本番で扱うワークへの足場かけを行っていきます。具体的には主に2つのワークを行いました。
●ぷちアート鑑賞
大原美術館所蔵の絵画を見て、「その絵からどんな音が聞こえてきそうかオノマトペで答えよう」というお題でグループメンバーと自分の回答を共有します。いくつかのグループの回答を全体でも共有しながら、同じ絵でも感じ方や膨らませる想像が人によって異なることが分かりました。
●自分の未来を考えてみよう
「生き方百科」のタグ図書館から自分の問い(疑問や関心)と近いタグを選び、抽出された記事を読みます。記事には岡山の様々な大人たちの生き方が紹介されていて、その人の生き方に思考を触発させながら、自分はどんな人生にしたいかを考えていきます。
本番では、中学生と倉敷化工株式会社の社員さん+倉敷の大人でワークを行います。
●ミニ対話型アート鑑賞
中学生4人・大人1人のグループに分かれて行います。事前ワークでも行ったオノマトペを考えるワークをやってみます。次に、別の絵画を見て今度はオノマトペではなく言葉で、自分が感じた印象をグループに共有します。
●自分の未来を考えてみよう
自分の未来を考えるにあたって、大原塗り絵を活用します。大原塗り絵は、大原美術館所属の絵画を白抜きにしたプリントです。中学生と大人には、この絵に自分のありたい未来を表現するように色をぬってもらいます。色鉛筆で塗るだけでなく、マスキングテープやマジックなども使えます。
●塗った絵でミニ対話型アート鑑賞をしよう
グループを解体して、会場全体でワークを行います。会場をウロウロして、出会った人とお互いに自分のつくった絵を見せ合って、その絵から感じる印象やその絵で起きている出来事を想像し、自分の感じ方や捉え方を共有します。その後、自分がどんな意図でそのように塗った(描いた)のかを説明して、お互いのありたい未来についての表現と新しい発見を目指します。
●チェックアウトへ向かう
元のグループに戻って、前ワークで印象に残っている絵や発見を共有したり、グループメンバーの絵を取り上げてミニ対話型アート鑑賞を行います。最後に「自分のありたい未来に向けて、まず何から始めようか」という問いで、自分がこれからやりたいことをカードに書いて宣言します。
この時間で中学生ができたことや感じたこととして、「色々な人の考え方や感じ方の違いが分かった」という回答が53人と最も多い結果となりました。次いで「自分と考えや意見の違う人でも、その人の話を聞いて理解しようとした」「自分の意見や感覚を他の人に伝えることができる」「大人の人たちが自分の話を真剣に聞いてくれた」が多い結果となりました。
その他、アンケート結果から見られる中学生の意識変容として「積極的に人と関わっていきたい」「自分のことを表現できる」「異なる意見・価値観を持つ他者と関係を築くことができる」というコミュニケーションに関する自己効力感が全体的に高まりました。また、自身の将来に希望を持てたり、周囲の大人に進路を相談したりしようと考える生徒が増加したことも分かりました。
中学生たちが塗った絵はどれも発想豊かな作品ばかりでした。自分の未来を表現する行為を言語+言語以外のもので行ったことで、頭の中にある言葉にならないものを言語以外でアウトプットできたのではないかと思います。また、中学生目線では、大人の人の感覚は未知で新鮮だったようで、新しい発見が生まれていました。
生徒によるぬり絵は、自分のありたい未来の姿をイメージして色付けしているので様々な作品に仕上がっていました。柔道場を動き回りながら出会った社会人と共有・鑑賞したワークでは、自分がどんな意図や考えでぬり絵をしたのかについて具体的な説明をするなかで、生徒は絵画を通じて自分の価値観や考え方を語ることができていたように思います。
担当教員より
特定非営利活動法人だっぴ
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